施行待ちの改正
「所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)」により、退職所得金額の計算方法が一部改正され、令和4年1月1日から施工されます。今一度、この改正内容を確認しておりましょう。
・・・・・・退職金(退職手当等)について、どのような改正が行われたのか?・・・・・・
●退職所得金額は、原則として、その年中に支払いを受ける退職手当等の収入金額から、その人の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされています。なお、役員等勤続年数が5年以下である人が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもの(特定役員退職手当等)については、「2分の1課税」を適用しないこととされています。
●令和3年度の税制改正により、短期勤続年数(勤続年数が5年以下)に対応する退職手当等として支払を受けるもので、特定役員退職手当等に該当しないものは「短期退職手当等」とされ、その退職所得金額については、短期退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が300万円を超える部分については、「2分の1課税」を適用しないこととされました。具体的には、「退職所得金額」を次のように計算します。
〇短期退職手当等の収入金額-退職所得金額≦300万円の場合 →(短期退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2 〇短期退職手当等の収入金額-退職所得金額控除>300万円の場合 →150万円+{短期退職手当等の収入金額-(300万円+退職所得控除額)} |
●国税庁のQ&Aでは、この改正の詳細が明らかにされています。
例)Q 令和3年12月31日以前に退職した使用人に対して、令和4年1月1日以後に退職手当等を支払う場合にも、改正後の法令の適用を受けるのでしょうか。
A この改正は、令和4年分以後の所得税について適用することとされており、退職手当等については、その「収入すべきことが確定した日」が令和4年1月1日以後であれば、改正後の法令が適用されることとなります。したがって、お尋ねの場合は、改正前の法令の適用を受けることとなります。
★2分の1課税の仕組みがある退職所得課税が優遇されていた制度であるため、定年後の再雇用などで「給与を少なめに支給しておいて、退職時に退職金として支払う」といった手法がとられることもあります。そのようなケースで、退職金の額が多額である場合には、今回の改正により、2分の1課税の恩恵を受けられる範囲が縮小される可能性があります。国税庁のQ&Aの内容など、詳細が気になるときは、気軽にお声掛けください。
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